ロックダウンから1年経ち・・・

<One Year after the First Lockdown> 去年の3月23日に最初のロックダウンに突入してから1年以上が経った。あの頃、イタリアを始めとするヨーロッパで感染が拡大し、各国で次々と移動の制限が実施されていた。そしてイギリスでも感染者が増えてきたので、やっと本格的に対策が取られるようになったのだ。最近、政府がロックダウンをもっと早くに始めていれば、その後の情勢はこれほどひどくならなかったはずだという批判が多く出てきている。確かにそうかもしれない。しかし1年前はまだ、一般人の間でそれほど切迫感はなかった。あれより早く実施していても、おとなしく従う人はほとんどいなかったのではないかと思う。

誰もが内心、ロックダウンなど大袈裟なと思いつつ、一時的な措置なら仕方ないと渋々従ったのだ。4月半ばのイースターの後には子供の学校も再開するんじゃないかと、私も最初は思っていた。マスクをしている人もいなかったし、そもそもマスクを置いている店などなかった。自分や近親者が感染する恐れよりも、スーパーが品薄になり、トイレットペーパーが買えなくなるという噂の方が、はるかに気がかりだった。

しかしこの1年で世界は一変した。イギリスでは今日現在、コロナで亡くなった人の数は累計約13万人に上っている。NHSが崩壊寸前であることや、現場の医師や看護師も感染して亡くなっていることが日々報じられてきた。その一方で、ロックダウンやさまざまな制限が続けば、企業は倒産し、失業者があふれ、国家の債務も膨れ上がる。2011年1月からいよいよブレグジットが現実化するのだから、さっさと経済を再開させないと取り返しのつかないことになる・・・という主張も常にあった。とはいえ、現実に感染はどんどん拡大し、重症者や死者が日に日に増えている。経済活動を元に戻そうにも、とてもそうできる状況ではない。

1年間のこういう事態を経て、人々の意識も大きく変わった。「マスクはイギリスの文化じゃない」などとを言う人はもういない。そして、ワクチンに対する懐疑論者も、以前はかなりいたらしいが、ほとんど聞かなくなった。むしろ大多数の人が予防接種を心待ちにし、有難く注射してもらっている。これまでに2,800万人、成人全体の半数以上が少なくとも初回のワクチンを受けたという。接種してもらえば自由になれる、コロナが怖くなくなると、誰もがワクチンに希望の光を見ている。

でも逆に言えば、もしもこれでロックダウンが解除されず、通常の生活に戻ることがさらに先延ばしになった場合、人々の落胆や驚愕や怒りはとてつもないものになるだろう。

ところで、私は月曜日にワクチンを打ってもらってから今日で3日であるが、幸いなことに何の副反応・副作用も出なかった。夫の方は、接種の翌日、猛烈な眠気に襲われて昼間から何時間も爆睡していた。人によっては発熱したり頭痛がしたりすることもあるらしい。接種後、看護師さんがくれたアストラゼネカ製ワクチンの説明書を改めて読んでみると、もともと身体にある免疫システムを促進する薬であると書いてある。私は実は、倦怠感どころか、逆に食欲が増していつも以上に元気になったように感じたのだが、ひょっとするとそれは副作用だったのだろうか??