<Food Bank> スーパーで買い物をし、レジでの支払いの後に通るエリアに、フードバンクの箱が置いてある。最近はどのスーパーにもあり、買い物客が購入した食品をその場で寄付できるようになっている。
今日は近所の生協(CO-OP)で缶詰のスープをいくつか買ったので、一つを寄付した。寄付できるのは、日持ちのする食品と、石鹸やトイレットペーパー、生理用品等の、なければ困るトイレタリー用品である(写真の箱には、コーヒー・茶葉、ビスケット、パスタ、ライス、砂糖、シリアル、缶詰、シャンプーの画像がついている)。箱が一杯になれば、あるいは定期的に、仕分けセンターに送られて3日分の食料パックに小分けされる。そして各地にある受け取りセンターに配送され、必要とする人に手渡される仕組みだ。寄付を受け付ける専用窓口も別にあるが、スーパーで買った品物をそのまま直接寄付できるのは便利である。よくある「2個買えば1個タダ」のようなセール品なら、なおのこと寄付しやすい。
日本では事業者の食品ロスを減らすことも重視されているようだが、こちらではもっぱら救貧が目的である。ウィキペディア(英語版)によれば、フードバンクの利用者は2007~8年金融危機以降の緊縮財政のもとで増え出し、保守党・自由民主党政権下で2012年福祉改革法が制定・施行されると急増した。最初は都市部が中心だったが、次第にコッツウォルズのような比較的貧困問題が少ない農村部にも拡大したとある(https://en.wikipedia.org/wiki/Food_bank)。確かに、モートンのスーパーに箱が置かれるようになったのは最近である。そして現在、コロナ不況が追い打ちをかけている。子供の学校でも、折にふれ、フードバンクへの寄付活動や呼びかけが行われるようになった。
全国各地のフードバンクを運営しているのは主に非営利団体で、中でもザ・トラッセル・トラスト(The Trussell Trust)は全国的ネットワークをもつ最大規模の組織である(生協もこれと提携)。その最新レポートによれば、コロナ禍の2020年4月~9月に同団体が提供した食料パックは前年比47%増の124万個にのぼった。食料という国民の最重要ニーズを支援することは本来は政府の責務であり、フードバンクの普及は望ましいことではない。しかし現実に今日明日の食べ物が手に入らない人々にとってはライフラインであり、いっそう拡大してほしいサービスだろう。